【キャンプイン】
いきなり遅刻。
僕は向かい風の遅延証明書を持って
ブートキャンプに入隊した。
始まった矢先のストレッチに
まだまだ瞬時に反応する
錆び付いた身体が悲鳴を上げる。
まるで養成ギブスを付けるかのように
グギギギィィ…
まるでハードプレイの苦痛に歓喜するドMのように
アヒィッ〜!
そして天国に一番近い山のごとく
ぜいぜい…と息が切れる。
今にも心が折れそうなうめき声が、
部屋中をガサ入れし出した。
何だチミは!?
んなこと聞いてないぞ!
オイ!
オイィィー!!
堪えろー!堪えろー!
ダメだー!ダメだー!
もうダメだ!
繰り返されるトミーとマツ。
ぬぉぉぉ〜〜い!!
ハイハイハイィッ!
ボトボトボト〜。
気がつけば尋常じゃない汗に、
床下浸水になりそうだ。
終盤の腹筋運動など
子供がダダをこねるかのように
身体をくねらせてわめき散らすだけだ。
アギュァォォ〜ッ!
ぐをぉぉーヒィィ〜!
音波系超高音とドルビー系重低音が
奏でるハーモニー♪
それは人間の際たる音…地獄だ。
そして
地獄を見た者だけに贈られる
終焉という名のビクトリー。
初めてのブートキャンプはこんな感じで終わった。
僕の身体は
生まれたての小鹿となり、
生き抜く為に強靭な身体へと成長していく…
はず。 |